インターネットを利用したビジネスが有力であるなか、Web上に表示される広告はビジネスチャンスにつながる効果的な手段の1つです。インターネット利用者に対して効率良く、効果的に訴えかけられる広告手段として、ディスプレイ広告とリスティング広告が挙げられます。そこでこの記事では、ディスプレイ広告とリスティング広告のそれぞれの特徴や違いを紹介します。
ディスプレイ広告とは
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリなどに設けられている広告枠に表示される広告を指します。
インターネットでWebページを閲覧する際に、最初に入るWebサイトのことをポータルサイトと呼びますが、このポータルサイトに表示されている広告がディスプレイ広告です。
また、ブログなどを閲覧しているときに表示される広告もディスプレイ広告の1つの例です。
ディスプレイ広告は、Webサイト上で、細い長方形の見出し画像のような形で表示されることが多いことから、バナー広告と呼ばれることもあります。
ディスプレイ広告は、不特定多数の人が目にするところに表示される広告であるため、その広告が宣伝する商品やサービスについての知識がなかったり、関心を持っていなかったりする人へ訴えかけるのに有効な広告です。
そのため、新規の顧客獲得を目指す場合において、ディスプレイ広告の活用は効果的だと言えます。
特にポータルサイトに表示されるディスプレイ広告は多くの人が目にするため、広告価値が高く、広告の内容について何も知らない層へ商品やサービスを認知してもらうのに効果的な広告手法です。
広告で宣伝する商品やサービスに対する積極的な関心がない人にも、広く知ってもらう機会を作り出すことができるため、ディスプレイ広告は潜在的なニーズを引き出すのに役立つのです。
特徴
ディスプレイ広告には、文章だけではなく、画像や動画を用いることも少なくありません。
画像ファイルのフォーマットの1つであるGIFやFlashなどをディスプレイ広告に取り入れることで、短いアニメーションのように動く広告を表示することができます。
こうした広告は、文字だけの広告とは違い、広告自体に動きがあるため、広告内容への関心が薄い人を含めた多くの人の目に留まりやすいという特徴があります。
料金体系
ディスプレイ広告の料金体系で主流なのは、クリック単価制と呼ばれる方式です。これは、広告がクリックされるたびに広告費としての料金が発生するものです。
また、インプレッション単価制という料金体系がとられる場合もあります。この方式は広告の表示回数が、定められた一定の回数に達したときに料金が発生するよう設定されているものです。
クリック単価制、インプレッション単価制のどちらの料金体系であっても、あらかじめ支払った預け金のなかから、広告の表示回数に応じた課金額が引かれる仕組みにすることが可能です。
そうすることで、広告費として計上した予算内で広告を運営することができます。
ただ、インプレッション単価制では、広告のクリックの有無にかかわらず、広告が表示されただけで費用の発生につながります。そのため、預け金を使い切るまでの期間が短い場合もあります。
しかし、広告面積の50%以上が画面に1秒以上、動画であれば2秒以上継続して表示されなければ、1回の表示回数としてカウントされないなど、ディスプレイ広告を表示するサイトによって取り決めがなされていることがほとんどです。
そのため、広告効果として有効ではない広告の表示によって、料金が発生する心配はあまりありません。
応用
ディスプレイ広告は、幅広いインターネット利用者に商品やサービスをアピールするのに有効である一方、表示の仕方を工夫することで、より広告効果が見込める対象に向けて広告を表示するように絞り込んだ設定をすることも可能です。
そうすることで、より運用効率の高いディスプレイ広告につながると言えます。例えば、広告を表示する際に指定したキーワードやカテゴリに関係したWebサイト上に、重点を置いてディスプレイ広告を表示することもできます。
また、Webサイトだけではなく、指定したキーワードやカテゴリに関係があるアプリや動画といったコンテンツに対しても広告を重点的に表示させることができるのです。
広告に関係したキーワードやカテゴリを指定するだけでなく、インターネットを利用する人の性別や年齢に応じてディスプレイ広告を表示させるという方法もあります。
加えて、広告が表示される地域や曜日、時間帯を絞ることもでき、より効率的に広告を運用することが可能です。
このように、広告を表示する条件を指定して対象を絞り込むことで、幅広い人の目に留まるディスプレイ広告でありながら、より広告効果の高い人に見てもらいやすい広告にすることができます。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、検索キーワードに連動して検索結果ページに表示される広告のことで、検索連動型広告とも呼ばれています。
例えば、検索エンジンで「ノートパソコン」と検索した場合、検索結果画面にノートパソコン関連の広告が表示されるのがリスティング広告です。
リスティング広告は、広告がクリックされたときのみ費用が発生するクリック課金制を採用しています。
リスティング広告の種類
リスティング広告には検索連動型広告以外に、ディスプレイ広告や商品リスト広告もあります。
検索連動型広告では検索エンジン上に広告が配信されますが、ディスプレイ広告ではWebサイトやアプリの広告枠に掲載されます。
バナーと呼ばれる画像の形で表示されることが多いですが、テキストや動画の広告を出稿することも可能です。
Webサイトやアプリのコンテンツに連動した広告が表示できるので、コンテンツ連動型広告とも呼ばれています。
またディスプレイ広告ではWebサイトへの訪問履歴や購入履歴を元に、広告の配信内容を変えることも可能です。
商品リスト広告は商品の画像や名称、価格やメーカー名などの情報を検索結果に表示できる広告です。
通常のテキスト広告より多くの情報量を表示できるので、ECサイトを中心に普及しています。
このようにリスティング広告には検索連動型広告、ディスプレイ広告、商品リスト広告と3種類ある訳ですが、多くの場面でリスティング広告=検索連動型広告と認識されています。
本記事でもリスティング広告=検索連動型広告として解説していきます。
リスティング広告のメリット・デメリット
リスティング広告には多くのメリットがある一方、導入前に把握しておいたほうがいいデメリットも存在しています。
ここではリスティング広告のメリットとデメリットについて説明していきたいと思います。
メリット
まずメリットとして挙げられるのが低予算でも広告を出せることです。
リスティング広告はクリック課金制なので、クリックされなければ費用は発生しません。
またキーワード単位で広告が出せるので、競争相手の少ない単価の安いキーワードで広告出稿を行えば予算を抑えられます。
即効性の高さもリスティング広告のメリットです。ブログやWebサイトを検索結果の上位に表示させるには時間と手間がかかりますが、リスティング広告はすぐに検索結果ページに広告が表示されます。
また広告はテキストのみなので、静止画や動画バナーを準備する必要もありません。
デメリット
一方で、デメリットとしては商品・サービスのプロモーションに向いていない点が挙げられます。
これはリスティング広告は検索されて初めて広告が表示される上に、テキストのみで印象に残りづらいためです。
また適切に運用するためには知識が必要な点もデメリットとして挙げられます。
リスティング広告への出稿自体は初心者でも可能ですが、費用対効果を高めるために分析や改善を繰り返すのは知識がないと難しいです。
更にリスティング広告は出稿を停止すると集客が大きく減ってしまう可能性があるので、費用対効果が悪くても出稿を停止しづらいという側面もあります。
リスティング広告で使える機能
リスティング広告を適切に運用するためには、搭載されている様々な機能を使いこなす必要があります。
リスティング広告の出稿先としては「Google」と「Yahoo!」が有名ですが、両者で機能や名称が異なるので別々に解説します。
Googleには検索広告型リマーケティング(RLSA)という機能があり、これは広告主のWebサイトを閲覧したユーザーにだけ広告を配信する機能です。
Webサイトを閲覧している時点で他のユーザーより興味・関心が高いと考えられるので、閲覧歴のあるユーザーに広告を配信すれば成約率アップが期待できます。
同様の機能はYahoo!にも搭載されていますが、こちらはリターゲティングという名称が使われています。
リスティング広告では、どんなキーワードに対し広告を出稿するかが重要なので、キーワードの選定をサポートしてくれる機能を活用するのがおすすめです。
キーワード選定機能はGoogleではキーワードプランナー、Yahoo!ではキーワードアドバイスツールとして搭載されています。
Google特有の機能としては動的検索広告(DSA)が挙げられます。
動的検索広告はGoogleが広告主のWebサイトを分析し自動で広告を出稿してくれる機能で、これを活用すればキーワードの選定や広告文の制作などの作業を自動化することが可能です。
一方、Yahoo!には自動入札機能が搭載されています。
これはコンバージョン数や費用対効果などの設定した目標に合わせて、自動で単価が設定され、広告の出稿を調整する機能です。
機械学習を利用しているので、手動で運用するよりも費用対効果が改善する傾向があります。
リスティング広告の費用
リスティング広告にかかる費用の仕組みについて解説していきます。
リスティング広告ではクリック課金制を採用しているので、ユーザーが広告をクリックした時に費用が発生します。
検索エンジンに広告が表示された段階では費用はかかりません。
では、クリックした時に発生する費用はどのように決まるのでしょうか。
これは入札によるオークション制を採用しています。
リスティング広告ではキーワードに対し広告を出稿するのですが、広告を出稿するキーワードを設定する時にクリック単価の上限(1クリック当たり何円まで払うのか)も決めます。
そして同じキーワードに広告を出稿する広告主との間でオークションが実施され、クリック単価が決まるのです。
狙っているキーワードで広告を出稿した場合、どの程度の費用がかかるのかはGoogleのキーワードプランナーやYahoo!のキーワードアドバイスツールを活用すれば分かります。
これらのツールを活用すれば各キーワードのクリック数や平均クリック単価が分かるので、平均クリック単価×クリック数で必要な広告費が予測できます。
ちなみに初めてリスティング広告を利用する中小企業や個人事業主の場合、予算20万円前後で始める場合が多いようです。
またリスティング広告の運用を代理店に依頼する場合、広告費用の2割を代行費用として支払う場合が多いです。
リスティング広告の掲載順位について
リスティング広告(検索連動型広告)で表示される広告は検索結果の上部に最大4つ、下部に最大3つ表示されます。
当然ですが下部より上部に表示されたほうが広告がクリックされる確率は高くなりますし、上部でもより上位に表示されたほうがクリックされやすいです。
では、リスティング広告の掲載順位はどのように決まるのでしょうか。
キーワードの入札価格が高ければ上位に表示されると考える人も多いかもしれませんが、実は違います。
掲載順位は入札価格と品質スコア(品質インデックス)で計算した「広告ランク」によって決定されるのです。
品質スコアは広告のクリック率、キーワードと広告内容の関連性、リンク先のランディングページがキーワードや広告と関連しているかなどを10段階で評価します。
例えばA社のキーワード入札単価が100円で品質スコアが10だった場合、広告ランクは100×10で1000となります。
A社のキーワード入札単価が200円で品質スコアが4だった場合、広告ランクは800となるため掲載順位はA社の方が上位になるわけです。
このように入札単価を上げるだけでは上位に表示されるか分からないので、品質スコアも合わせたトータルでの対策が必要となります。
リスティング広告が向いているサービス
リスティング広告は適切に運用すれば、様々な商品・サービスの集客アップに効果的です。
ただし、リスティング広告に向いている商品・サービスもあります。向いている例としては店舗型ビジネスのような地域に密着した商品・サービスが挙げられます。
リスティング広告では配信する地域を設定できるので、地域を限定すれば競合が減り低い入札単価で上位表示を目指すことが可能です。
広告費をある程度使えるなら、客単価が高く、利益率も高い商品・サービス(不動産・リフォームなど)も向いています。
客単価が高い商品・サービスは検索ニーズも高い上に競合も多いので、入札単価が高騰しがちですが、キーワード入札単価が高くても客単価・利益率が高ければ採算がとれる場合が多いです。
また、緊急性が高い状況で利用されるサービスなどもリスティング広告に向いています。
緊急性が高い状況とは鍵を失くす、自宅の水漏れ、スマホが壊れるなどの状況です。
こうした状況に遭遇したユーザーは「スマホ 修理 24時間」「水漏れ 24時間 地域名」などで検索する場合が多いです。
今すぐ問題を解決できるサービスを求めているので、検索キーワードに関する興味・関心が高く成約に結びつきやすくなります。
リスティング広告が合わないサービス
一方でリスティング広告が合わない商品・サービスも存在します。
まず知名度の低い商品・サービスはリスティング広告に合いません。
リスティング広告は商品・サービスに関するキーワードを検索されることで広告が表示されます。
そのため検索される可能性の低い、知名度の低い商品・サービスではリスティング広告は難しいのです。
また、客単価や利益率が悪い商品・サービスもリスティング広告に合いません。
リスティング広告全体の成約率は1%前後と言われているので、理論上は1件の成約に対し100クリック前後必要となります。
仮にクリック単価が10円と安くても、100クリックだと1000円の広告費がかかります。
つまり販売価格1000円程度の単価の低い商品だとクリック単価だけで赤字になりやすく、費用対効果として合わない場合が多いのです。
リスティング広告を正しく理解し集客に繋げよう
リスティング広告は簡単に始められる上に、即効性もあるので短期間で集客アップを図りたい企業にはおすすめです。
一方でリスティング広告に合う商品・サービス、合わない商品・サービスも存在します。
そして広告を出稿して終わりではなく、分析や改善を繰り返す必要もあります。
このような側面もあることを理解した上でリスティング広告を運用すれば、集客・売上のアップにつながるでしょう。