アウトバウンド営業とは
新規開拓に欠かせない営業法の一つが、アウトバウンド営業です。定期的かつ安定した受注を継続することも企業としては重要ですが、収益や企業規模の拡大のためには新たな販路を築くことも大切でしょう。
とはいえ、アウトバウンド営業が、具体的にどのような営業スタイルを指すのか、イメージしにくい方も多いでしょう。まずは、アウトバウンド営業とはどのような営業であるのかを解説します。
企業自らが働きかける営業手法のこと
アウトバウンド営業とは、企業側からアプローチを行い、顧客獲得や販路開拓につなげる営業手法のことです。
アプローチを行う時点では、企業と顧客の間に接点はほぼなく、テレアポや飛び込み営業などを行ってコンタクトを取るのが特徴です。
もともと「アウトバウンド」という言葉は、海外へ向けた意味がありました。しかし、アウトバウンド営業は海外に向けた営業を意味することではなく、社内から外部へ発信するスタイルの営業を意味します。
つまり、自社から外部のリードに対して何らかのアクションをとるのであれば、アウトバウンド営業と言えるのです。
インバウンド営業の真逆の営業スタイル
企業から顧客に働きかけるアウトバウンド営業に対し、顧客自らが企業とコンタクトを取るよう誘導する手法を「インバウンド営業」といいます。
特定の顧客に対して直接アプローチするのではなく、不特定多数の人に向けて情報を発信し、顧客の興味・関心を引くことを目的としています。
インバウンド営業に用いられる手法は複数ありますが、以下では代表的な事例をまとめました。
- 企業サイトや企業ブログ、オウンドメディアを立ち上げる
- TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSアカウントを作成し、情報を発信する
- 企業の商品やサービスの情報を掲載したメールマガジンを配信する
- 誰でも参加できるセミナーを開催する
- 展示会を主催したり、ブースとして参加したりする
自社の商品・サービスの情報は積極的に発信しますが、顧客との接点に関してはあくまでも受け身に徹しているところがアウトバウンド営業との大きな違いです。
インバウンド営業については、以下の記事でも触れているのでご覧ください。
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アウトバウンド営業とは?インバウンド営業との違いも理解しよう!
アウトバウンド営業を成功させる3つのコツ
アウトバウンド営業の成功率を高めるために、ぜひ押さえておきたいコツを3つご紹介します。
1. 要点を押さえて簡潔に話す
テレアポや飛び込み営業では、とにかく少しでも話を聞いてもらうことが大切です。要領を得ない話をぼそぼそとしゃべられると、相手の聞く気を削いでしまいます。電話でも対面でも、要点を押さえてハキハキと簡潔に話すことを心がけましょう。
相手に逃げられないようにと、焦って早口になってしまう方も多いですが、冷静に、ゆっくり話した方が耳を傾けてもらいやすくなります。
2. 顧客目線でニーズをとらえる
アウトバウンド営業から、担当者へのアポや商談、そして成約につなげるためには、先方のニーズを正確につかむ必要があります。商品やサービスにはそれぞれ特徴や強みがあります。
しかし、どんな要素が心の琴線を打つのかは、顧客が抱えるニーズによって異なります。顧客のニーズを知らずに、的外れな説明や提案を行っても、先方はまったく興味や関心を示してくれません。自社の商品・サービスを売り込む際、どうしてもメーカー目線で説明してしまいがちです。
短時間で相手の興味や関心を引き出す必要のあるアウトバウンド営業だからこそ、まずは顧客目線でニーズをイメージするところから始めましょう。
3. アウトバウンド営業とインバウンド営業を併用する
アウトバウンド営業とインバウンド営業は、それぞれ正反対の手法を採用していますが、決して相反する存在ではありません。2つの営業手法を効果的に取り入れれば、お互いのデメリットをカバーし、営業活動をより効率化させることができます。
たとえば、インバウンド営業で見込み客になりそうな顧客をリストアップし、テレアポや飛び込み営業を行えば、担当者との訪問アポや商談の機会を取得できる確率がアップします。
また、アウトバウンド営業とインバウンド営業を組み合わせた「営業メール自動化ツール」を利用するのも有効な方法のひとつです。営業メール自動化ツールは、プログラムが企業サイトを巡回し、お問い合わせフォームなどを使って営業メールを自動送信できるツールです。
顧客に対して能動的に働きかけるのはアウトバウンド営業の手法ですが、営業メールに対して反応があった顧客にターゲットを絞ってアプローチするのはインバウンド営業の手法です。
営業メール自動化ツールでおすすめなのは「GeAIne(ジーン)」です。GeAIneを活用すれば、企業のWebサイト上にある問い合わせフォームやメールアドレスに対して、自動的にアプローチできます。
営業担当者が少なく新規顧客の開拓に注力できない、飛込営業などを行っているが成果が出ない、といった悩みを抱えている場合に最適なツールといえるでしょう。
アウトバウンド営業ほどコストや手間がかからず、インバウンド営業より能動的にアプローチできる良いところ取りの手法ですので、営業支援ツールとして導入を検討してみてはいかがでしょうか。
4.媒体を厳選する
一口に「アウトバウンド営業」と言っても、さまざまな媒体を活用できるため、どこを利用するのかはしっかりと考えなければなりません。一般的には、テレアポや飛び込み営業などでの営業活動が多い傾向にあります。
しかし、他にも、SNSを経由した営業や、メールでのアプローチなどの営業方法も存在します。業界や業種、ターゲットの分野などによって、反響を得やすい媒体は異なります。
やみくもにアウトバウンド営業をするのではなく、どの媒体から、どのようにターゲットにコンタクトをとるのかをしっかりと計画したうえで実施することが重要です。
アウトバウンド営業を行う2つのメリット
アウトバウンド営業を行うことで得られるメリットを2つご紹介します。
1. 企業が営業先を決められる
インバウンド営業は、短時間で不特定多数の人を対象に情報を発信できますが、情報の受け手を企業側が選定することはできません。見込み客以外の人に情報を発信しても、実際の業績・売上にはつながりにくいため、思ったような効果を得られない可能性があります。
一方、アウトバウンド営業では、自社の商品・サービスに関連した企業をリストアップし、テレアポや飛び込み営業を行います。あらかじめターゲットになりやすい企業にアプローチをかけるので、興味・関心を持ってもらいやすいところが利点です。
また、今後のことを考えてぜひお付き合いしたい!と考えている企業がある場合も、アウトバウンド営業が有効です。
2. 潜在顧客を見つけられる
インバウンド営業に用いられるWebサイトやメールマガジンなどは、まず顧客自らがコンテンツを検索し、情報を取りに行く必要があります。もともと自社の商品やサービスに関心を持つ見込み客であれば、情報収集を経てコンテンツに辿り着く可能性が高いです。
しかし、そもそも商品・サービスを知らない顧客がインバウンド営業に触れる確率は低いです。
その点、アウトバウンド営業は、企業側から顧客にアプローチするため、自社の商品やサービスを知らない潜在顧客を見つけられる可能性が高くなります。
3. 決定権をもった役職と繋がれるチャンスを狙える
受け身で顧客を待つインバウンド営業とは異なり、「繋がりたい役職」にピンポイントで営業をかけやすいのがアウトバウンド営業のメリットです。
ある程度決定権を持つ役職と繋がりを持つことが、企業の営業を成功させやすいポイントでしょう。不特定多数に対して情報発信するのではなく、「〇〇部の△△さんと話をさせてほしい」と直接交渉できるのはアウトバウンド営業の有利な点です。
もちろん、必ずしも狙った役職の方と繋がれたからといって契約に至るわけではないですが、最初から決定権を持つ社員と繋がれれば契約までのステップが早くなるため、結果的に効率的な営業活動となるでしょう。
アウトバウンド営業を行う3つのデメリット
アウトバウンド営業は新規顧客・販路の開拓に効果的な手法ですが、一方でアウトバウンドならではのデメリットもあります。
1. 営業効率が悪くなりがち
アウトバウンド営業は、先方の業種を調べれば、ある程度顧客になってくれそうな企業を絞り込むことができます。
ただ、実際に自社の商品・サービスに関心を持ってくれるかどうかは、アプローチをかけてみるまでわかりません。どれだけ丁寧にテレアポの電話をかけても、タイミングが悪かったり、そもそもニーズにあっていなければ話を聞いてもらうこともできないでしょう。
また、せっかく現地まで時間と交通費をかけて出向いて飛び込み営業をしても、商談まで持ち込める確率は低く、成約に至るケースとなるとほんの一握りというケースもめずらしくありません。
対して、インバウンド営業の場合は顧客から資料請求・問い合わせなどのアクションを起こしている以上、そのまま商談や成約に至る確率が高いです。効率面で比較すると、アウトバウンド営業はやや劣るといわざるを得ないでしょう。
2.営業マンの負担が大きい
面識のない企業から、アポなしで突然電話や訪問を受けることを喜ぶ人は、残念ながらあまり多くありません。何百件と電話を掛けても、実際にアポを取れるのは数件程度で、その他の電話では、すげなく断られてしまいます。
飛び込み営業にしても、門前払いされるケースの方が多く、1日中歩き回る労力に見合った成果を得られるとは限りません。肉体的にはもちろん、精神的にもきついところがあるので、営業マンの負担が大きくなってしまうところが難点です。
3. 人的・時間的・経済的コストが高い
アウトバウンド営業は、地道に電話をかけるか、あるいは外回りで訪問営業する手法がメインです。1日に何百件もの電話をかけたり、電車やバスを使って移動したりすると、そのたびに通信費や交通費がかかりますし、それなりの人手も必要です。交通費などは1回あたりの出費はわずかでも、毎日続くと月々のコストが大きな負担になります。
また営業マンの人件費がそのままコストとなりますので、年間で見るとかなりコストが高い営業手法といえるでしょう。
しかしながら、より顧客との信頼関係が重要な大型の案件や即時クロージングしたい場合などアウトバウンド営業に向いている案件は少なからずありますので、状況によってはコストに見合うかそれ以上の営業成果を得られる場合もあります。
【手法別】アウトバウンド営業のポイント
ここからは、主なアウトバウンド営業の手法ごとに、成功するためのポイントを解説します。
テレアポ
アウトバウンド営業の定番でもあるのがテレアポです。企業規模を問わず、中小企業から大手企業まで導入しているアウトバウンド手法といえるでしょう。
しかし、現実問題として、テレアポで実際にアポイントに繋がる割合はわずか2%程度といわれています。回数で見ると、40~60回ほど電話をかけて、やっと1~2件アポイントに繋がるようなイメージです。
テレアポは、見ず知らずの人間からの電話で、相手が警戒してしまうのが難点であり、アポイントにつながりにくい要因の一つです。
急に電話をかけるのではなく、あらかじめメールを送ってコンタクトをとっておいたり、MAツールなどを活用して相手企業のニーズや興味関心度合いなどをチェックしたりしたうえで、架電するとよいでしょう。
コールドメール
コールドメールは、主に営業を目的としてターゲットにメールを送る営業活動のことであり、アウトバウンド営業手法の一つです。
テレアポと比べると、短時間で多くの企業に発信しやすいのが魅力です。人手不足や効率化などの観点から、テレアポではなくコールドメールでの営業手法を取り入れている企業も少なくありません。
しかし、コールドメールは、受け取った方の8割程度が「知らないアドレスをチェックしない・削除する」といった事実があります。
効率的に大量の顧客へリーチをかけられる営業手法ではありますが、一方で読まれることなくスルーされてしまう割合も高めです。
そのため、「メールの開封率が高い時間帯」「開封してもらいやすい件名」を取り入れることをおすすめします。
メールの開封率が高いとされているのは、平日朝の早い時間帯(5〜6時)と週の後半といった傾向があります。逆に、土曜日・日曜日などの週末はメールの開封率が、平日の半分程度となるといわれているため、メールを送るタイミングは慎重に見極めましょう。
また、メールの件名は、とくに重視すべきポイントです。メールを受け取った方の3割以上が件名で、内容を読むか否かを判断しているためです。ターゲットのニーズを満たしつつ、キャッチーでわかりやすい件名を意識しましょう。
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SNS
近年は、SNSを活用したアウトバウンド営業を取り入れる企業が増えています。
主に、X(旧Twitter)や、Instagramなどでの営業活動が多い傾向にあり、企業の公式SNSアカウントを開設したり、営業マンが自らのSNSアカウントを使ってアウトバウンド営業に活用しているケースが多くなりつつあります。
SNSを活用してアウトバウンド営業を実施する際には、まず活用するアカウントそのもののブランディングを実施することが重要です。
アカウントの信頼性やイメージを確立しないと、どれだけアプローチしてもなかなか反響が得られない事態に陥ってしまうためです。
企業の情報や業界の豆知識、お役立ち情報などを積極的に発信し、アカウントの権威性を高めたうえでアウトバウンド営業に活用することをおすすめします。
【まとめ】インバウンド営業やメール自動化ツールと組み合わせて営業を効率化しよう
アウトバウンド営業は、見込み客だけでなく、潜在顧客も獲得できるところが特徴です。
しかし、インバウンド営業に比べると手間とコストが大きいうえ、営業マンにも負担がかかってしまいがちです。
アウトバウンド営業でネックになる部分は、インバウンド営業や営業メール自動化ツールなどをうまく組み合わせて、より効率的な営業を目指しましょう。